2014年1月22日水曜日

第6回亀田総合病院緩和ケア基礎研修会

当院主催の緩和ケア研修会が今年も無事に終了しました。

当院では毎年1月の恒例行事となりつつあるこの研修会、実は全国のがん拠点病院に対して、最低でも年に一度の開催が義務づけられています。

当院の特徴として、研修会タイトルから“がん”という言葉を省いていることからもお分かりの通り、緩和ケアを、がんに限らず、全ての(緩和ケアを必要としている)患者さまにお届けすることを念頭において、幅広く参加を呼びかけています。

今年も、外科、腫瘍内科、消化器内科、乳腺科、呼吸器内科や総合診療科、在宅医療科の医師、院内外から看護師や薬剤師、理学/作業療法士の方々にご参加頂きました。

内容としては、冒頭の『緩和ケア概論』に始まり、『がん性疼痛の評価と治療』『呼吸困難』『嘔気・嘔吐』という身体症状のコントロールや『気持ちのつらさ』『せん妄』という精神症状に関する双方向性の講義あり、グループに分かれての『疼痛事例検討』『地域連携検討』あり、さらに『オピオイドを初めて処方するとき』の場面を設定したロールプレイ、難治がんの告知の場面を設定したロールプレイありと、二日間通して気の抜けない、濃いものとなっています。

準備する側としても、参加者のプロフィールや特性をみて、各セッションの目的を最大限達せられるような進行方法やグループ分け、ディスカッションの全体共有をその都度、臨機応変に行うよう心がけています。はっきり言って大変ですが、これは私たち疼痛・緩和ケア科にとっての列記とした“仕事”であって、そこにはやりがいがあります。義務だから、形だけで、やっているわけではありません。

ふだん、私たちの目の届かないところで、主治医や病棟スタッフ、そして患者様・ご家族は、様々な“痛み=トータルペイン”を抱えて困っています。

病院内、そして地域の医療者全てが基本的な緩和ケアの知識・スキルを習得することで、結果的に患者様やご家族、地域に住む方々が安心して暮らせること、治療ができること、最期を迎えられること。この基本教育を誰が主体となって行うのかと言ったら、(少なくとも当地域においては)それは我々以外にはいないわけです。

今回も、これまでの反省を活かして様々な工夫を施しました。うまくいった点、すべった点、それぞれありましたが、これからも、会を重ねる毎に進歩していけたら良いと思っています。

ご参加頂いた皆様からは、日常の診療の中で「少しでも患者様やご家族の力になりたい」という想いが感じられました。
この研修会が、その助けになったのであれば、幸いです。

参加者の皆様、ご協力頂いた全ての皆様に心から感謝いたします。ありがとうございました。