2014年10月6日月曜日

2014年度 第2回マインドフルネス勉強会

2014年度 第2回マインドフルネス勉強会 

昨日、院内でマインドフルネス勉強会があり、医師、歯科医師、看護師、薬剤師、放射線技師、事務、保健師、心理士ら、かなりバラエティーに富んだ多職種の方にご参加頂きました。講師はこの勉強会シリーズを一昨年からご担当下さっている井上ウィマラ先生(高野山大学文学部教授)です。

今回のテーマは、『今ここを意識的に生きる~誕生から看取りまで~』でした。

まず最初にマインドフルネス全般の講義で始まりました。今マインドフルネスは医療界で様々な領域で認知され活用される動きが出てきています。マインドフルネスは不安を鎮め、リラックス感や幸福感を高めることが分かってきたようですし、脳科学では右脳の島という部分の体積が大きい人ほどマインドフルネス傾向が強いことが分かったようで、マインドフルネスの効用が科学でも客観的に解明されつつあるようです。

講義の後に自分の呼吸を見つめる瞑想(臥位と座位)を行い、次いで自分と他人の呼吸を共に見つめるセッション(今回は、背中合わせで自分と相手の呼吸を感じるワーク、掌で相手の腹式呼吸を感じるワーク)を行いました。それぞれが、各ワークを行って感じたことを言語化して共有しました。

マインドフルネスで最も大切なものは呼吸ですが、自分のみでなく他人の呼吸を見つめる作業というのはあまり実践する機会がないと思います。援助職のわたし達にとって、患者という他者への気づきを高め、かつ自分自身への気づきも高める作業は必須です。今回も多くの気づきが得られました。

そして私にとって最も有意義だと感じたのは、このワークを通じて、他者の体に触れることと日頃の医療職の仕事について多職種の皆さんと意見を交換する機会が得られたことです。どの職種であっても、医療に携わる者は他者に触れることが必要です。触れるという小さな行為にもっと焦点をあて、このことを一人ひとりの医療者がそれぞれの現場でマインドフルに行えたら、もしかしたら、医療の営みはもっと優しいものとなり、医療者も患者も笑顔が増えたりしないだろうか、と勝手に想像していました。


午後は、自分の誕生の時を考えるグループワークに取り組みました。今回、先生が用意して下さったのは、“自分が受精したときのこと”を考え、様々なことに気づきを得るという課題です。考える内容は以下の3つでした。
1.受精したときのことでわかるとしたらどのようなことを知りたいと思うか?
2.それを知っていたとすると、今の人生がどのように変わると思うか?
3.それを知らずに生きているということに、どのような意味があると思うか?

あまり考えたことがない課題に、参加者は自由に様々な意見を出し合いました。誕生の瞬間に関する疑問、生命の神秘さ、不思議さ、両親や兄弟と自分との関係性など、一人ひとりの脳裏には様々な思いや考えが浮かんだようです。また、一方ではこの課題のどこがマインドフルネスなの?という疑念がふっと沸き上がりました。
確かに私自身も瞑想などとは異なり、マインドフルネスの実習をしているという実感はその時にはあまり感じられませんでした。

しかしながら、井上ウィマラ先生の解説はこうです。
上記の3つの質問から自由に考えをめぐらせてみて話し合いながら、その最中に自分の中に湧き上がってくる感情やぬくもりや温かさ、あるいは胸が閉じたり痛く感じたりすること、そうした身心の反応を丁寧に感じ取ってゆくことがマインドネスのトレーニングになるということです。なるほど!、、と腑に落ちた次第です。
“汝自身を知る”作業は難しいと古来から言われていますが、それを実感しました。

さて、最後に参加者からの感想をご紹介して本文を終わりにしたいと思います。

“日常的に考えないことをテーマに皆で考え色々な意見を知ることができました。患者さまのケアについても職種ごとの考えや思いや実施していることがわかったのでとても参考になりました”

“日常業務の中でつまずいた事の原因がわかり、明るい未来を感じとる事ができました”

“自分に何が出来るのか?どうしたら良いのか?などと仕事で困難に直面し、‘心に寄り添う難しさ’を感じている中、自分の心が少し軽くなりました”

今回も講師の井上ウィマラ先生、ありがとうございました。

また、参加者の皆様、お疲れさまでした。院内で、マインドフルネス勉強会をこれから広げていきたいと思っています。具体的に何をどうやるのか、難しいところですが、まずは興味のある人の輪を広げていくことが第一歩だと思っております。今後とも、よろしくお願い致します。                              (文責:関根)