2014年8月21日木曜日

館山病院 緩和ケアチーム勉強会

今年の2月から、館山病院緩和ケアチームと当院疼痛・緩和ケア科/緩和ケアチーム合同で、月に一回勉強会を行ってきました。
館山病院は、自然あふれる南房総のリゾート地・館山市に位置する、15診療科・208床を擁する中規模病院です。
   館山病院 http://hakudoukai.com/hp/
   館山病院 看護部webサイト http://hakudoukai.com/nurse/index.htm

緩和ケアチームは、山口春海師長(緩和ケア認定看護師)を中心に立ち上がった新しいチームで、ご近所のよしみで、当チームとしても積極的に応援する意味で、以下の日程で合同勉強会をさせていただきました。
(1)   2/6 緩和ケアとコミュニケーション 関根龍一医師(当科部長)
(2)   3/6 緩和ケアと医の倫理 関根龍一医師
(3)   4/3 Advance Care Planning 蔵本浩一医師
(4)   5/1 スピリチュアルケア① スピリチュアリティ理解を中心に 瀬良信勝チャプレン
(5)   6/5 スピリチュアルケア② スピリチュアルケア理解を中心に 瀬良信勝チャプレン
(6)   7/3 家族看護 終末期における家族ケア 千葉恵子看護師
(7)   8/7 緩和ケアにおけるチームアプローチ 江川健一郎医師


今回は、8/7に行われた「緩和ケアにおけるチームアプローチ」について、ご紹介したいと思います。館山病院緩和ケアチームの皆さんからの要望を取り入れ、スライド1のように、座学とワールドカフェ方式を取り入れたグループワークを組み合わせた90分でした。

スライド1


(1)   亀田総合病院緩和ケアチームの歴史


館山病院の皆さんに、当院緩和ケアチームのこれまでの歴史について簡単にご紹介しました。当院における緩和ケアの取り組みは1994年在宅診療部発足から始まりました。2004年からは専従医師が赴任し、緩和ケア室を設置。その後フェロー募集(教育活動の開始)、C棟(化学療法棟)設置に伴うサポート外来の開設やオピオイド・サーベイランスの開始を経て、現在に至ります。当院には緩和ケア病棟がないため、緩和ケアチームの業務はコンサルテーションのみとなっており、そのことで生じる様々な問題点についてもご紹介することができました。

(2)   チームアプローチについての理論

褥瘡ケアチームの在り方について記された文献(WOUND CARE whitepaper (http://www.woundsource.com/whitepaper/understanding-your-wound-care-team))を参考に、医療における4つのチームモデルをご紹介しました。(スライド2)。

スライド2

単職種チームモデル

医師・患者間のみで治療方針を決定する。
多職種チームモデル
医師を中心として、患者・コメディカルの意見を集約して治療方針を決定する。
医師と各職種間での情報交換は盛んだが、議論は少ない。
相互関係チームモデル
職種間で定期的な意志疎通が行われるが、職種毎の役割は決まっている。
患者の状態に合わせて、対応する職種が決まる。
相互乗り入れチームモデル
患者の必要性を重視して方針を決定する(目標指向性)。
その必要性に対し、医療者が分担し役割を変動させて対応する。
この4タイプを踏まえて、緩和ケアチームに適したチームとは何か、皆さんの意見もいただきながら議論を進めました。会場からは、「いまのチームは多職種チームだが、緩相互関係チームを目指していきたい」、「相互乗り入れチームの実現は、職種間の専門性を尊重するとなかなか難しいのではないか」といった活発な意見をいただきました。

(3)   みんなで考える(グループワーク)

ワールドカフェ方式(参考:ワールドカフェとは?http://world-cafe.net/about-wc.html)を用い、3つのテーマについてグループワークを行い、最後に代表者にまとめていただきました(スライド3
スライド3
註:PCT=Palliative Care Team:緩和ケアチーム

  ワークでは、館山病院で実際に日々の診療に携わっている多職種の皆さんならではの意見が多数飛び出し、地元の特徴を反映した大変有意義な議論となっていました。Table Aでは、「患者さんや家族の意見をもっと聞く」「既存の館山病院の設備を有効活用する」などの意見が、Table Bでは、ちょうど時期ということもあり、「館山の花火大会を患者さんに見ていただく」、「今の環境・人材を生かせば館山の自然を生かしたケアができる」などの積極的な意見が、そしてTable Cでは「病院を建て替える」、「自然に囲まれた環境で、地元密着型のケアを推進していく」などの意見が出ました。最後に皆さんで発表会を行い、館山を愛する館山在住の職員による館山病院ならではの緩和ケアチームを創っていこう、という気持ちを皆さんで共有することができました。

  この勉強会を通じ、当院緩和ケアチームにとっても様々な学びがありました。貴重な機会をくださった館山病院の皆様に感謝いたします。(担当:江川)