2013年3月12日火曜日

3月2日房総がんケアフォーラムのご報告①

こんにちは。
3月2日に第5回房総がんケアフォーラムを開催しました。
今年度のテーマは
人生の最期について考えてみませんか?」です。

ストレートなタイトルだったので当初は地域住民の方々に参加していただけるか心配でしたが、結果として総勢70名(医療関係者は20名弱、ほとんどが地域の方々)にご参加をいただきました。また、参加年齢層も20歳代~80歳代と幅広く、関心の高さを実感しました。
これには昨今話題の『エンディング・ノート』や、この話題がマスコミでも多く取り上げられるようになったことも影響しているのかもしれません。

最初のセッションでは『人生の最期をどう支えるか―事前指示と生命倫理―』というタイトルで、亀田医療大学看護学部の足立智孝准教授にお話いただきました。

事前指示とは『人々が意思決定能力を失った場合の、治療に関する選好を表明する口頭または書面による意思表示』と定義されています。(フィッシャーら、2007)

事前指示には以下の二つの類型があります。
(1)代理氏名型:患者本人が予め、自分が意思決定できなくなる前に、自分の代わりに意思決定してもらう人を指名
(2)内容指示型:「口頭」で指示する場合と「文章」に書き記す場合がある⇒「事前指示書」=リビング・ウイル(=生前遺言)

(2)の例として、日本尊厳死協会(現在国内で12万人以上の会員数)による『尊厳死の宣言書』があります。また国立長寿医療センターでは『私の医療に対する希望(終末期になったとき)』という書面記載形式の事前指示書を使用しています。

このように日本でも広がりつつある事前指示ですが、現時点では法的な拘束力がありません。また日本では、従来から『自己決定』より『家族の決定』を重んじる傾向があるため、より一層事態を複雑にしていると思われます。


勘違いされやすいのですが、事前指示書は一度書いたからと言って取り消せないものではなく、何度でも書き直すことができます。
『その状況』になって初めて気づくこともあるため、揺れ動く気持ちに寄り添いながら意思決定支援をしていくことが看護師の役割となると私は思いました。


話を聞いた参加者からは、
・どこにいけば『事前指示』の相談にのってもらえるのか?
・どんな書き方をすればいいのか?
など、具体的な質問が出されました。

また地域の医療関係者からは、
「地域の利用者さん?たちには、まだ事前指示を確認するのは早いと思って積極的に言ってはこなかったけど、『どう過ごしたいのか』という視点で考えると、早い段階から考えていただくことが大切であると思いました」といった感想も出されました。


普段はなかなか口に出しずらいことかもしれませんが、
『自分が自分らしく過ごすために』
『どのようにして最期まで生き抜くか』
という視点で、
『もしも病気になったときはこうして欲しい』
という意思を伝えておくことが大切であると思います。
(文責 千葉)



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