2012年11月6日火曜日

DNAR指示が一人歩きをはじめるとは?~箕岡真子先生の講演会より~

先週11月1日に、東京大学大学院 客員研究員の箕岡真子先生による終末期ケアにおける医療倫理と題する講演会がありました。これは、当院の倫理問題検討委員会が主催したものです。
折しも、当院で院内事前指示委員会が発足したばかりのタイミングでの講演でした。
ご講演は大変盛りだくさんの内容で、3回分の講義を1回分にまとめてくださったような内容の濃さでした。

箕岡先生は、『私の四つのお願い』という、一般者への事前指示ガイドを書かれた先生として
知られています。
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4863510357_1.html

また、一番最近では『蘇生不要指示のゆくえ』というDNAR指示についての御著書があります。
http://www.amazon.co.jp/%E8%98%87%E7%94%9F%E4%B8%8D%E8%A6%81%E6%8C%87%E7%A4%BA%E3%81%AE%E3%82%86%E3%81%8F%E3%81%88-%E7%AE%95%E5%B2%A1-%E7%9C%9F%E5%AD%90/dp/4863510527

DNAR指示がついたとたんに、医療現場では治療ゴールを巡って、患者・家族や医療者のそれぞれの立場から物語が発生します。箕岡先生は講演でこのことを“DNAR指示が一人歩きを始める”と表現されていました。こうした状況は、一般の人には殆ど知られていませんが、実は我々医療者が日常的に行っている医療行為における決定プロセスが倫理的に大きな問題をはらんでいることも少なくありません。まずは、一般の方にもそういった状況の存在を知ってもらい、この問題を自分たちの問題として考えてもらいたいとの思いで、この著書をお書きになられたとのことです。

日本臨床倫理学会という学会が新たに立ち上がったことも今回教えて頂きましたので、私も早速この学会に入会しました。こうした学会活動を通じて、現場での倫理的問題が広く話し合われ、今後の医療のあり方を国民が主体的に考える材料が提供されるように、現場の声を発信していきたいと思います。                                           (文責:関根)





0 件のコメント:

コメントを投稿