2012年10月10日水曜日

緩和ケアコンサルト件数は何の指標?

連休明けの9日は、入院患者のコンサルト依頼が4件(内訳は癌が2件、非がんが2件)と忙しい一日でした。当院の緩和ケアチームでは、2007年度からの年間入院依頼件数は250件から350件くらいで推移しています。当院のがんの入院患者数は、おそらく約200人程度で、そのうち進行がんの患者数は、約半分程度の100人程度と見積もられます。がんセンターの統計などと比較して、入院患者あたりの緩和ケアチームへの依頼件数としては、そこそこの数字ではないか、とは思います。年々、入院の緩和ケアコンサルト依頼数が増えているかといいますと、最近は横ばいで推移しています。このことをどのように評価すべきか、とチームで話し合ったりしています。
当院には精神科がリエゾンチームがあり、緩和ケアチームとリエゾンチームの双方がカバーし合い、疾患によらず、つらさの強い患者、家族をサポートしています。リエゾンチームの活動は年々活発になってきているので、そちらでカバーしてもらっている割合が増えていることが、依頼件数が増えていない理由のひとつでしょう。
もう一つは、主治医の緩和ケア能力の向上により、比較的難易度の低い依頼の割合が減っている可能性が挙げられます。現に、これは喜ばしいことですが、主治医チームも緩和ケアをしっかり勉強するようになってきており、主科が困っているケースというのは、スピリチュアルペインへのアプローチや難易度の高い疼痛マネジメントや嘔気のコントロールであったりします。

こうした状況をかんがみると、私たち自身の専門性を常に向上させる努力が必要であること日々実感します。また、緩和ケアコンサルトの依頼件数は緩和ケアチーム活動の一つの指標ではあっても、その病院の緩和ケアの質を担保するものとはあくまでも異なることを私たちはよく認識しておく必要があります。私たちは、痛みの強い患者やつらさの強い患者を放置せずに、もれなくカバーする仕組みの一つとして機能すべき存在ですので、コンサルトが1件もなかったとしても、
痛みやつらさがしっかりと病院スタッフによって十分にケアされていればよいという視点も必要です。
病院の全スタッフに対して、基礎的な緩和ケアについて、継続的に教育していくことは、個々の患者さんのケアと同じかそれ以上に大切であることを忘れずに、横断的なサポートの仕組みづくりに一層力をいれていくべきと考えます。

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